子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋層にできる良性の腫瘍です。30代以上の女性の4〜5人に1人にみられる非常に頻度の高い疾患であり、女性ホルモン(エストロゲン)の刺激によって大きくなる性質があるため、閉経後は自然に縮小に向かうのが一般的です。発生する部位によって「粘膜下筋腫(子宮の内側)」「筋層内筋腫(子宮の筋肉の中)」「漿膜下筋腫(子宮の外側)」に分類され、現れる症状が大きく異なります。主な症状は、経血量の著しい増加(過多月経)とそれに伴う重度の貧血、激しい生理痛(月経困難症)です。また、筋腫が大きくなると周囲の臓器を圧迫し、頻尿や便秘、下腹部膨満感(お腹のはり)を引き起こすほか、不妊症や流産のリスク因子となることもあります。筋腫が小さく、過多月経や痛みなどの自覚症状がない場合は、治療は行わずに定期的な経腟超音波検査(エコー)でサイズや位置の変化を3ヶ月〜6ヶ月の間隔で経過観察します。
症状がある場合は、痛みを抑える鎮痛剤や、出血を抑える止血剤、貧血に対する鉄剤の処方を行います。根本的な治療として筋腫を縮小させたい場合や、手術前・閉経までの逃げ込み療法として、女性ホルモンの分泌を一時的に抑える薬(GnRHアゴニスト/アンタゴニストなど)を用いた偽閉経療法を行うこともあります。
薬物療法でのコントロールが困難な場合、筋腫が急速に巨大化している場合、または不妊症の原因となっている場合は、筋腫だけをくり抜く「筋腫核出術」や、子宮全体を摘出する「子宮全摘術」などの適応となります。その際は、患者さんの年齢、挙児希望(妊娠の希望)、ライフスタイルを総合的に考慮し、最適な時期に手術可能な医療機関へ紹介を行います。
